2016年06月06日

「低炭素社会は人類にとって幸福か?」 

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理科や社会は、特にそういう傾向が強いのですが、学習を進め内容を深めていくと、社会の方向性と矛盾しているのではないか?という疑問にぶつかる生徒が、時々います。

よく考えてくれる生徒ほど、それに気づいて(しまい?笑)、鋭い質問を投げかけてくるので、その時は、答えるよりも、その生徒とじっくり議論をする事にしています。

 

今回は、その一例を紹介します。

 

中学3年の理科(公立)では、「自然と人間」という単元で、「生物界における物質の循環」について学習します。ここで循環する物質というのは「炭素」(元素記号C)の事です。

(これ以下、文脈に応じて、炭素をC、酸素をO2、二酸化炭素をCO2と表記します)

 

簡単に言うと、植物が光合成によって空気中の二酸化炭素(CO2)からCを取り込んで有機物(でんぷん)を作り、それを草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べることで、炭素は受け渡されていきます。そして死んだ生物を菌類、細菌類が分解し、CO2に戻して空気中に放出し、それがまた光合成に使われる…というサイクルです(この他、生物の呼吸によってもCO2は放出されます)。

 

生物は「炭素を主食にし、皆でグルグル回して生きている」という事です。

炭素が無くなった時、このサイクル上にいる生物は絶滅するしかないのです。

そしてこの学習では、その循環する炭素、主食の炭素(C)が空気中のCO2由来である事を学習します。

 

では、そのCO2は、もともとはどこに有ったのかというと、原始地球です(上図を参照下さい)。

46億年前、出来たてで高温の地球では、単体の酸素(O2)はほぼゼロで、その大気の殆どがCO2でした。

そのCO2はやがて海に融けて濃度は減っていきますが、それも時間の経過と共に飽和します。

 

そこに、光合成する生物(上図では好気性生物と書いてあるもの)が出現します。

光合成は、CO2からCを取り込みO2を放出する結果になりますから、この生物の出現によって、O2が爆発的に増えていき、逆にCO2はどんどん減っていきます。

当初、大気の多くを占めていたCO2は、何億年も減り続け、現在は、大気中に占めるCO2割合が0.04%、(O2割合21%)というところまできています。

それに伴い、実は、CO2の持つ温室効果も低くなって、「地球史規模のスパン」で考えれば、地球はどんどん冷えてきたのです。

 

このまま、地上のCO2即ちCが減り続け、遂にそれがゼロ近くになったら、その時が、今生きている殆どの生物が絶滅する時です。

 

あれ?でも変ですね、理科では、Cは光合成によって一時的に吸収されても、それが食べられる事で、循環し、その量は変わらないと学習しました。

そして今あるO2は、もともと殆ど全てCO2として存在していたのですから、O2のかつてのパートナーだったCが、それに見合う分だけどこかにある筈です。

 

どこへ行ったのでしょう?

 

実は、生物の中には、津波や川によって海に流されて堆積し(地層)、Cを持ったまま食べられることなく地中深くしまいこまれてしまうものがあるのです。それらの骨が化石になります。

では、Cを含んだ体は?・・・それが「化石燃料」になるのです。

 

つまり化石燃料である石油、石炭、天然ガスを燃やす事は、炭素の循環から外れ、地下深くしまいこまれてしまったCを地上に復活させ、生物の主食を循環に乗せるという事なのです。

 

また、地球規模の永いスパンで見ると、現在の地球は「氷河時代」であり、その結果、生物が生きていくのに向かない部分が多く存在していると言えます(氷河の地域や両極近くの極寒地域)。

もう少しCO2濃度が高く、いわゆる「温暖化」した状態の方が、光合成のし易さという点、餌の豊富さという点でも、また生物の生息範囲が広がるという点でも、「地球上の生命」全体にとっては好都合であるという事も言えなくはないという事になるのです(恐竜が大繁栄した時代は、今より温暖化していました)。

 

…こういった議論までしてくる生徒は、本当に、学習を血や肉にしてくれていると感じます。

学習することの目的の一つは、自分で考える力を養う事です。

「巷間言われている事をただ鵜呑みにするのでなく、自分の頭で考える」

私達が生徒に一番伝えたいことです。

 

…さて、先ほどの議論をした生徒は、昨今の「低炭素社会」とか「炭素税」に関して、どんな見解を持ってくれるでしょうか、今度聞いてみたいと思います(笑顔)

 

 

 

〜〜前回のクイズの答え〜〜

 

体の内部で、潔い死(?)を遂げた細胞は、やはり、自身のDNAを切断し、自分をバラバラにします。

そして、それは、体の免疫にも関係する、大食細胞(マクロファージ)という細胞に食べられて無くなるのです。

因みに、この大食細胞は、体に侵入した異物をどんどん食べ、必要に応じてその内容物のデータを別の細胞に伝達するという優れモノです。

 

〜〜今回のクイズ〜〜

 

 

原始のころの地球大気、大気の殆どがCO2で、ハンパない温暖化現象が起こっている状態…に近い処…が、実は、存在します。

 

とても恐ろしい処だと思いますが、それは、どこにあるのでしょうか?

 

これが、今回のクイズです。

 

HG

 

posted by bunbu at 12:20 | Comment(0) | 文武塾より
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