2016年02月23日

「流れ落ちる窓ガラス」について

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最近ある生徒が、少し誇らしげな表情でこんなことを言ってきました。

「アスファルトもガラスも、とっても粘度の高い液体なんだよ。知ってる?」

なんでも今、物質の三態について学習しているようで、学校の先生から教えてもらったとの事でした。

 

液体と固体の違いに関しては、深く突っ込むと難しい議論になりますが、ザックリ言うと、分子が動ける状態が液体、動けない状態が固体です。

 

この事から考えると、確かにアスファルトはその通りで、石油由来のアスファルトはどっちと言われれば液体というべきです。液体ですが、粘度が高くものすごいドロドロで殆ど流動性が無いものです。

 

〜〜ところでウィキペディアによると、天然アスファルトは大昔からあり、旧約聖書の中に「バベルの塔の建設に使われた」という記述があるそうです(驚)。日本でも、縄文時代に土器などの補修に使われていたそうですから、人類には古くから馴染の深いものなんですね。〜〜

 

では、ガラスは?

というか、「ガラスが固体か液体か」という議論があること自体ご存知でしたか?笑

 

実はこの問題、古くから議論されている事なんです。

「えっ?! だってガラスは堅いし、流れないから固体に決まってるじゃん」

そうですね。確かにガラスはコンコンと叩けるし、ガチャンと割れたりもします。前述の(とてもアバウトな笑)定義で言うと、分子は動けない筈…(?)。

ところが、この「動けない状態」、普通は、分子が規則正しく並んでいるんですが(結晶)、ガラスはそれが無いんです。バラバラなんです(微結晶があるという説もあります)。

これは、あたかも液体の分子状態をパチリと写真に撮ったモノのようです。ですから、例えばアスファルトの粘度をメチャクチャに高くして、もう、カチンコチンにしたものと考えることもできるわけです。

 

「えっ?! じゃあ、傾けていると重力で下の方に流れるの? ガラスがぁ?」

実際、何千年かすると、窓ガラスの上の方と下の方で厚みが変わる…というのは考えられないわけでもないという話です(ええっ!驚)。ただ、これは検証されてはいません汗

 

それにしても、カチンコチンなのに液体って…普通の感覚とはだいぶ違ってしまいますね。

 

実は、結晶構造を持たない状態(非結晶)で固体とされているものも、ある事は有るんです。

それを「アモルファス」と言います。

例えば、真空中で金属を熱して蒸発させ、その金属の気体中に何かを置くと、そこに金属がくっついてピカピカの状態になります(これを真空蒸着といい、鏡などがこれで作られます)。

この時、その金属はアモルファスの状態です。そしてこれは固体とされています。

但しこの場合は、結晶を作る時間が足りなくて、途中で固まってしまったようなものなので、基本的には熱すると結晶になります(最近は熱しても結晶化しない新材料も開発されています)。

 

一方、ガラスは熱するとある温度で融けて(?)、液体のようになり、ガラス職人さんが見事な形を作り、冷えるとカチンコチンで、ガチャンと割れるものになります。このあたりが少し違いますね。

(因みに、このガラスがドロドロになる温度は、固体が液体になる温度を言う「融点」とは言わず、「ガラス転移点」と言います)

 

そんな中、京都大学とブリストル大学の研究チームが、コンピュータシミュレーションと情報理論によって解析した結果として、次のような発表をしました。

「ガラスは、固体の状態と液体の状態が混在しているものの、固体のところでは、分子がある特定の幾何学的構造(正20面体)に組織化されていることを発見しました。この結果はガラスが確かに固体であることを示す有力な証拠となります。

結局、ガラスは固体か…。

但しこれは、あくまでもシミュレーションです。実際のガラスで実験できるかが今後の課題とも結んでいます。

 

…まぁ、固体だろうと液体だろうと、そんなのどっちでもいいと言えばそれまでですが(笑)、学習していく姿勢として、最近特に顕著な、「テストに出るところだけ教えて」とか、「つまりどっちなの」といった、『単なる結論だけを聞き、それをただ覚えたがる雰囲気』を払拭する為に、たまにはこんなことを「あーでもない、こーでもない」と一緒に考え、その中で周辺知識を増やしてもらったり、学んだ事がどんな風に役立つのか実感してもらったりする事も、大切な時間だと私達は考えています。

 

 

〜前回のクイズの答え〜

 

日本におけるハイパーインフレ

これは、太平洋戦争敗戦後に起きました。この時、物価は8年間で300倍になっています。

 

その原因はもちろん多くの要因がその対策と共に複雑に絡んでいますが、戦時下にあって大日本帝国政府の借り入れが、国家財政の9倍もあった事(それだけお金が増えている)と戦後のモノ不足、更に、復興の為の大量の資金投資等が、これを起こした主な原因とされています。

 

 

〜今回のクイズ〜

 

今回はガラスについて取り上げましたが、ガラスは、東北大震災で破損してしまった福島第1原子力発電所から漏れ出た放射能汚染水が太平洋に流れ込む事を防ぐことにも使われました。

 

さて、それは、どのようにして使われたのでしょうか?

 

これが今回のクイズです。

H.G

 

 

 

posted by bunbu at 16:10 | Comment(0) | 文武塾より
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